

みなさんこんにちは!ポロンノゆるっとキャンプ略してポロキャンです!
2023年から2025年にかけて、ツキノワグマやヒグマの出没件数と人身被害が過去最多を更新しています。札幌市内の住宅地でクマが目撃されたり、群馬県のスーパーにクマが侵入して客が負傷したりと、もはや「山の中だけの問題」ではなくなってきました。
私自身、北海道でキャンプをする身として、この状況は決して他人事ではありません。正直に言えば、最初は「クマ対策って何から始めればいいの?」と戸惑いました。熊鈴だけで大丈夫なのか、本当に効果のある装備は何なのか、調べれば調べるほど情報が多すぎて混乱したんです。
でも、環境省のマニュアルや知床財団のガイド、実際にクマ域でキャンプをされている方々の経験談を集めて、ようやく「これだけは揃えておくべき」という核心が見えてきました。
この記事のポイント
・山・森林での必携グッズと正しい使い方が分かる
・農地や住宅周辺で効果的な対策装備が理解できる
・行動目的別の装備リストで抜け漏れをチェックできる
それでは早速いきましょう!
なぜ今、クマ対策が必要なのか
クマの出没が増えている背景には、いくつかの要因があります。クマの個体数と分布域が拡大していること、山の堅果類(どんぐりなど)の不作により餌を求めて人里に降りてくること、そして狩猟者の減少による人慣れなどが指摘されています。
特に注目すべきは、市街地近くへの進出です。以前なら「山奥に入る人だけが気をつければいい」という認識でしたが、今は住宅地の庭や商業施設にまで現れる時代です。これは登山者だけでなく、農作業をする方や、自宅周辺を散歩する方にとっても無視できないリスクになっています。
だからこそ、「予防(音・臭気・柵)」と「最終防衛(撃退スプレー)」の両輪で備えることが、環境省のマニュアルでも強調されているんです。
山や森林で絶対に持っていくべき装備
熊鈴・熊鐘|音で存在を知らせる基本装備
熊鈴の目的は「威嚇」ではなく、「こちらの存在を知らせて、クマとの不意の遭遇を避ける」ことです。クマは基本的に人間を避けたいと思っているので、音が聞こえれば近づいてきません。
ただし、沢音や風が強い場所、藪の中では音が届きにくいという限界もあります。だから熊鈴だけに頼るのではなく、声を出したり手を叩いたりすることも併用するのが賢明です。
私が実際に使っているのは、「ベアベル消音機能付き」です。キャンプ場に着いたら音を止められるので、他のキャンパーに迷惑をかけずに済みます。複数の音色を持つベルを併用すると、より効果的だという研究もあります。
クマ撃退スプレー(ベアスプレー)|最後の命綱
もしクマが至近距離まで接近してきた場合、最も有効なのがクマ撃退スプレーです。唐辛子エキス(カプサイシン)10%前後の製剤で、クマの目と鼻に向けて全量噴射します。
ここで重要なのは「携帯位置」です。ザックの中に入れておいては意味がありません。襲われてから「ちょっと待って、今出すから」なんて余裕はないからです。腰や胸のホルスターに装着して、数秒で抜けるようにしておくのが絶対条件です。
私も最初はスプレーをザックのサイドポケットに入れていたんですが、「これじゃ間に合わない」と気づいて、専用ホルスターを購入しました。安全ピンを解除して噴射する動作を、何度も素振りで練習しています。緊張した状況でも体が勝手に動くようにするためです。
有名な製品としては、「COUNTER ASSAULT(カウンターアソールト)」や「SABRE FRONTIERSMAN」があります。購入時は使用期限を必ず確認してください。
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スプレーは風下で使うと自分にかかって危険です。
風向きを確認し、クマとの距離が数メートルになってから使用してください。
訓練用の練習缶で事前に噴射感覚をつかんでおくことを強くおすすめします。
音追いピストル・爆音器|威嚇用の補助装備
火薬の破裂音と匂いでクマを威嚇する装備です。登山や林道の巡回で使用されることが多く、特に熊の生息密度が高いエリアでは有効です。
ただし、音に慣れたクマには効果が薄いこともあるので、過信は禁物です。あくまで「複合的な対策の一部」として考えるのが良いでしょう。
防御用スティック・杖|自分を大きく見せる
威嚇時に使用します。クマと遭遇した際は、後ずさりしながら自分を大きく見せることが推奨されています。杖や棒を頭上に掲げることで、視覚的に「大きな存在」として認識させる効果があります。
トレッキングポールを持っている方は、それを威嚇用としても活用できます。
農地・住宅周辺で効果的な対策装備
電気柵(クマ対応仕様)|侵入防止の最強手段
農地や養蜂場、住宅の裏山などでは、電気柵が最も効果的です。触れると痛覚刺激を与えることで、クマに「ここは近づくと嫌なことが起きる場所だ」と学習させます。
電圧の目安は6000〜10000V程度です。最下段は地上約20cmに設置し、草が接触して漏電しないよう、定期的な草刈りと倒木除去が必要です。
知床財団の実証事例でも、正しく設置・維持された電気柵は非常に高い侵入防止効果を示しています。初期投資はかかりますが、長期的に見れば被害額を大きく抑えられる投資です。
防臭・防ゴミ対策器具|誘因を断つ
クマを引き寄せる最大の原因は「匂い」です。生ゴミ、果実の残渣、ペットフードなどは、クマにとって魅力的なエサになります。
密閉性の高い金属製ゴミ箱や、鍵付きの処理ボックスを使用することで、匂いの拡散を防ぎます。特にキャンプ場や山小屋では、就寝地から離れた場所に食料を吊るすベアバッグや、耐熊フードコンテナの使用が推奨されています。
藪刈り道具|見通しを確保する
山麓の藪や果樹跡地を刈り払いして視界を開くと、クマが近づきにくくなります。クマは身を隠せる場所を好むため、見通しの良い環境は彼らにとって居心地が悪いのです。
自宅周辺や農地の周囲を定期的に刈り払うことで、「人の管理が行き届いている場所」という印象を与えることができます。
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緊急時・遭遇時の対応補助具
ホイッスル・電子警報ブザー|救助要請と威嚇の兼用
非常時に大音量で助けを呼べるホイッスルや電子ブザーは、軽量で登山やキャンプに最適です。クマとの遭遇時の威嚇にも使えますし、万が一怪我をした場合の救助要請にも役立ちます。
私は首からぶら下げられるタイプのホイッスルをいつも携帯しています。電池不要で確実に音が出るという安心感があります。
携帯ライト・ヘッドランプ|夜間の視認性確保
夜間や薄暗い時間帯は、クマとの不意の接触リスクが高まります。ヘッドランプで周囲を照らすことで、互いの存在を早期に認識できます。
モンベルのヘッドランプは軽量で明るく、オススメです。
行動目的別|最低限の装備チェックリスト
日帰り登山・山菜採りの必携セット
・熊撃退スプレー(ホルスター装着)
・熊鈴またはラジオ+ホイッスル
・ヘッドランプ+予備電池
・応急処置セット(止血帯・ガーゼ)
・スマホ+予備バッテリー+地図アプリ
・防臭袋(行動食・ゴミ用)
キャンプ・車中泊での追加装備
・耐熊フードコンテナまたはベアバッグ
・食材は就寝地から20m以上離して保管
・就寝前の場内クリーン(食べ残しゼロ)
・ヒグマ域の長期設営では電気柵も検討
装備と同じくらい大切な「行動管理」
どれだけ装備を揃えても、「クマと出会わない行動」が最優先です。環境省のマニュアルでも、この点が何度も強調されています。
具体的には、藪や沢、向かい風の場所では声を出す、単独行動や薄暮時を避ける、生ゴミや食べ残しを絶対に残さない、といった基本行動です。
私自身、ソロキャンプが好きなので単独行動は避けられないのですが、その分だけ音を出すこと、明るい時間帯に行動すること、食料管理を徹底することに神経を使っています。
装備は「万が一のための保険」であり、本当の安全は「日々の行動」から生まれるのだと実感しています。
まとめ|クマ対策は「予防」と「最終防衛」の両輪
この記事のまとめ
・熊鈴+熊撃退スプレーは山での必携装備
・スプレーは腰・胸のホルスターで即座に抜けるように携帯
・農地や住宅では電気柵と防臭対策が効果的
・装備だけでなく「出会わない行動」が最優先
・行動目的別のチェックリストで抜け漏れを防ぐ
クマ対策は「完璧」を目指すよりも、「できることを確実に積み重ねる」ことが大切です。私も最初はすべてを完璧に揃えようとして疲れてしまいました。でも、「まずは基本の3つ(鈴・スプレー・ライト)から」と決めてからは、無理なく対策を続けられています。
あなたの行動スタイルに合わせて、必要な装備を少しずつ揃えていってください。一度に全部は難しくても、一つずつ増やしていけば、確実に安全性は高まります。
クマとの共存は、これからも続く課題です。でも正しい知識と適切な装備があれば、恐れすぎることなく、北海道の美しい自然を楽しむことができます。
それでは皆さん、賢く『ゆるっと』豊かなアウトドアライフを!