

みなさんこんにちは!ポロンノゆるっとキャンプ略してポロキャンです!
2025年8月14日に羅臼岳で発生したヒグマによる登山者死亡事故。親子グマ3頭が駆除され、DNA鑑定で襲撃個体の特定が進められています。この痛ましい事件を受け、改めてヒグマとの共存について考えさせられました。
実は私自身、数年前に知床半島で釣りをしていた時、ヒグマと遭遇したことがあります。その時は知識も準備も不十分で、ただ運良く何事もなく終わりました。しかし今思えば、一歩間違えれば大変な事態になっていたかもしれません。
北海道でアウトドアを楽しむ私たちにとって、ヒグマとの共存は避けて通れない現実です。都市部でも目撃情報が増加している今、正しい知識を身につけることが何より大切だと痛感しています。
この記事のポイント
・羅臼岳事件から学ぶ現代のヒグマリスクの実態
・ヒグマの生態と季節ごとの行動パターンの理解
・遭遇時の正しい対応方法と絶対にやってはいけないこと
それでは早速いきましょう!
羅臼岳事件が示す現実|人慣れしたヒグマの脅威
今回の羅臼岳事件で最も衝撃的だったのは、事故現場が多くの登山者が利用する人気の登山道だったことです。しかも、襲撃したヒグマは事件の数週間前から登山道付近で繰り返し目撃され、人を恐れずに登山者につきまとう行動まで見せていました。


北海道のヒグマの個体数は過去30年間で2倍以上に増加し、推定12,200頭(2022年)にまで回復しています。同時に分布域も約1.3倍に拡大し、札幌市街地や住宅街での出没も珍しくなくなりました。
北海道庁の公式見解は「北海道の山野はどこでもヒグマの生息域です」。
都市近郊だから安全という考えは、もはや通用しません。
ヒグマの驚異的な能力を理解する
アウトドアでの安全対策を考える前に、まずヒグマがどれほど優れた能力を持つ動物なのかを理解することが重要です。
圧倒的な身体能力
成獣のオスは体重200kgを超え、時には400kgに達する個体もいます。その巨体にもかかわらず、走行速度は時速40~60kmと人間を遥かに凌駕し、泳ぎや木登りも得意とします。
私がTVで見た時、そのスピードと俊敏さに本当に驚かされました。「クマから走って逃げることは不可能」という事実を身をもって実感した瞬間でした。
世界最高レベルの嗅覚
ヒグマの最大の武器は嗅覚です。人間の数百万倍から一億倍という驚異的な能力で、風向き次第では5km離れたシカの死骸も察知できます。キャンプでの匂い管理が重要なのは、この能力があるからなんです。
ヒグマの感覚能力
・嗅覚:人間の数百万~一億倍の感度
・聴覚:非常に優秀で音に敏感
・視覚:人間と同程度だが遠距離識別は苦手
視力が比較的弱いという特徴は、風下にいる静止した人間を遠距離から認識できない可能性があり、不意の遭遇リスクを高める要因にもなります。
ヒグマの季節別行動パターン
ヒグマとの遭遇リスクは季節によって大きく変動します。10年以上の北海道アウトドア経験から、特に注意すべき時期をお伝えします。
春(3月~5月):覚醒と採食期
冬眠から覚めたヒグマは飢えた状態で活動を開始します。前年のドングリやフキ、ザゼンソウなどの新芽、そして冬を越せなかったエゾシカの死骸を主な食料とします。
初夏(5月~7月):繁殖期と分散期
この時期は特に危険です。交尾期のオスは広大な行動圏を徘徊し、母グマから独立したばかりの好奇心旺盛な若グマが人間の生活圏に迷い込みやすくなります。
晩夏(8月~9月):端境期の食料不足
山中の自然の食物が少なくなる端境期は、人間との軋轢が最も深刻化する時期です。今回の羅臼岳事件もまさにこの時期に発生しています。
秋(10月~11月):過食期
冬眠に向けて脂肪を蓄える過食期。ミズナラの堅果類やヤマブドウなどの高カロリー食物を大量摂取しますが、凶作の年には人里への出没が激増します。


遭遇時の正しい対応|距離別プロトコル
万が一ヒグマと遭遇してしまった場合、距離と状況に応じた適切な対応が生死を分けます。
遠距離(100m以上):静かな退避
ヒグマがこちらに気づいていない場合は、大声を出さず静かにその場を離れ、大きく迂回して安全な距離からヒグマの動向を監視します。
中距離(50~100m):穏やかなコミュニケーション
ヒグマがこちらに気づいているが落ち着いている場合は、立ち止まって穏やかな低い声で話しかけます。「おお、クマさん」などと声をかけながら、腕を上げて体を大きく見せ、決して背中を向けずにゆっくりと後退します。
近距離(50m未満):防御準備
立ち止まって穏やかに話しかけ続けながら、ゆっくりとクマスプレーを構え、安全クリップを外します。退路を確認し、そちらへ向かってゆっくり後退します。
絶対にやってはいけないこと
・走って逃げる(追跡本能を刺激)
・大声で叫ぶ(威嚇と受け取られる)
・目を直視する(挑戦と見なされる)
・ザックを捨てる(防御具になる)
至近距離(20m未満):威嚇行動への対処
ヒグマが鼻を鳴らす、顎をカチカチ鳴らす、地面を叩くなどの威嚇行動を示した場合は、クマスプレーの使用準備を完了し、可能であれば木や大きな岩を自分とヒグマの間に置くように移動します。
必須の安全装備と使い方
北海道のアウトドアでは、適切な装備が命を守る最後の砦になります。ここでは実際にキャンプで使える具体的なヒグマ対策グッズをご紹介します。
ベアキャニスター:食料管理の基本
ヒグマが破壊できない硬質容器で、匂いを発する全ての物品を収納します。目的は自分の食料を守ることと、ヒグマが人間の食料の味を覚えることを防ぐことです。
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熊撃退スプレー(ベアスプレー):最強の防衛手段
強力な唐辛子成分(カプサイシン)を含む最も効果的な防御手段です。射程が9~10m程度あり、ヒグマが近距離で接近した際に顔に向けて噴射して撃退します。専用のホルスター付きモデルを選ぶことで、緊急時に素早く取り出すことができます。
クマスプレーはバックパック内ではなく、ベルトやストラップのホルスターに装着し、即座に取り出せる状態で携行することが重要です。
風向きに十分注意し、風上に向けて噴射すると自分が無力化されてしまいます。
熊鈴:基本の音響対策
持ち歩くことで行動中に音が鳴り、ヒグマに人間の存在を知らせて近づくのを防ぐ基本アイテムです。ザックやベルトに取り付け可能なタイプが多く、常に身につけておくことができます。
ただし、常に鳴り続ける音は周囲への注意を散漫にさせる可能性もあるため、定期的に大きな声を出したりホイッスルを吹いたりすることも併用しましょう。
500ルーメン以上のLEDライト・ヘッドライト:光による威嚇
強い光や点滅ストロボは、ヒグマが夜間に嫌がる刺激となり、威嚇や警戒心を高めるのに役立ちます。特に点滅機能や複数のライトで「光のバリア」を作ることが効果的です。
普段のキャンプでも使用する装備なので、ヒグマ対策機能付きのモデルを選ぶことで一石二鳥になります。
身近なキャンプ道具でヒグマ対策
・蚊取り線香:匂いや煙がヒグマの嗅覚には不快で近づきを抑制
・焚き火:炎や煙が本能的な警戒心を刺激し寄せ付け防止効果
・複数箇所への設置で人の活動エリアを区切るのがコツ
これらのグッズは組み合わせて使うことで、ヒグマ対策の効果をより高められます。特に熊撃退スプレーは「最も効果が高い」とされるため、携帯を強くおすすめします。
キャンプサイトでの徹底した匂い管理
ベア・トライアングルの実践
・就寝場所(テント)
・調理・食事場所
・食料保管場所
この3点を100m以上離して三角形に配置する
テント内での調理や食事は絶対に行わず、歯磨き粉やデオドラントなどの化粧品類、使用済みの調理器具まで、匂いを発するものは全て管理対象として扱います。
私が実践している方法は、キャンプ場到着時にまず風向きを確認し、テントを風上に設営することです。調理場所は風下に配置し、匂いがテントに流れないよう工夫しています。
情報収集と事前準備の重要性
アウトドアに出かける前の情報収集は、生命を守る第一歩です。
最新の出没情報チェック
訪問予定地の市町村や北海道庁が発表する最新のヒグマ出没情報を必ず確認します。羅臼岳の事件も、事前に人慣れしたヒグマの出没が多数報告されていました。
単独行動の回避
集団行動はヒグマに威圧感を与え、遭遇リスクを低減させます。やむを得ず単独で行動する場合は、より一層の警戒が必要です。


共存のための責任あるアウトドア
今回の羅臼岳事件では、親子グマの駆除に対して多くの批判の声も上がりました。しかし、一度人間と食料を結びつけて学習したヒグマは、用心深い野生動物から危険な存在へと変貌してしまいます。
私たちにできる最も重要なことは、「問題個体」を作らないことです。意図的であれ意図せずであれ、決してヒグマに餌を与えない。持ち込んだものは全て持ち帰る。これは単なるマナーではなく、ヒグマの命を守ることにもつながる重要な責任なのです。
共存のための黄金律
・決してヒグマに餌を与えない
・匂いの完全管理
・不意の遭遇回避
・適切な装備の携行
まとめ|知識と準備で安全なアウトドアを
羅臼岳の痛ましい事件は、私たちに多くのことを教えてくれました。ヒグマとの共存は簡単なことではありませんが、正しい知識と適切な準備があれば、安全にアウトドアを楽しむことは十分可能です。
大切なのは恐怖心ではなく、正しい知識を学んで、準備して、楽しむこと。
この記事が、皆さんの安全で充実したアウトドアライフのお役に立てれば幸いです。コメント欄で、皆さんのヒグマ対策や体験談もぜひ教えてくださいね。
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それでは皆さん、賢く『ゆるっと』豊かなアウトドアライフを!